アトラス彗星の観測報告
2024年4月に発見され2025年1月に地球に最接近すると予想されていた「アトラス彗星」(C/2024 G3 (ATLAS)) の観測がアリビナ宇宙科学研究所でも行われました。
アトラス彗星について
アトラス彗星は2024年の発見から、2025年の新年の最高の彗星になると予想がされ、「New Year Comet」とも表現されていた彗星です。そのため、当研究所でも観測イベントを実施することを決定していました。昨年の大彗星「紫金山・アトラス彗星」と同様に、太陽最接近に伴って彗星が崩壊する可能性が各天文台より指摘されていました。このため、この大彗星の観測は絶望的であると一時は思われました。しかしこの彗星は崩壊することなく2025年1月13日に近日点を通過し、このときの等級は最大で-3.4等級となりました。このためアリビナ宇宙科学研究所は、この大彗星の観測会を予定通り開催することを決定しました。この決定以前より当研究所の彗星観測部門の職員によって観測が続けられていました。
昼間の観測
アトラス彗星が近日点を通過した2025年1月13日には、既に当研究所の職員によって、この彗星の「昼間の観測」が試みられていました。能美葉月氏は13日の朝から静岡県の海沿いへと向かい、そこで近日点通過直後の彗星の観測を行いました。
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この写真は13日の13時20分に撮影されました。見事に昼間の彗星を捉えています。昼間でもはっきりと長く伸びる尾を確認できるほどの明るさであることが確認できます。この時、アトラス彗星の等級はピークに達していたと考えられています。
1月14日の観測会
アリビナ宇宙科学研究所は、この大彗星の観測会を東京都青梅市今寺にて開催しました。この観測会自体は、2024年より実施する方向で動いていたものでありますが、彗星が「無事に」回帰したことによって、実際に行われることになりました。
この日は天候に恵まれ、また肉眼で観測可能な等級に達していたことから、観測は無事に成功するだろう、と考えられていました。参加者は当研究所の天文学・宇宙物理学の職員3名であり、赤道儀や天体望遠鏡、また高性能なカメラなど、さまざまな機材が用意され、観測の準備が17時頃より開始されました。この日のアトラス彗星は、西南西の空の太陽にかなり近い高度に見えるという予想でしたので、日没直後から30分ほどが勝負と考えられ、日没前から準備が行われました。
結果として、この日の観測会では、彗星が予想よりも遥かに低い位置にあり西側に広がる山に隠れてしまったため、彗星を観測することは叶いませんでした。
その後の観測
観測会の後にも各職員はこの彗星を観測しようと、日没直後に彗星の観測に挑みました。結果として多くの職員が天候や太陽の明るさによって肉眼での観測、また望遠鏡を使った観測にも失敗しました。しかし当研究所の彗星観測組の職員である高橋乃々香氏は、長野県まで車で機材を運び、アトラス彗星の観測を1月17日に実施しました。
その結果、近日点通過後のアトラス彗星の観測は見事に成功しました。
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高橋氏はこの観測について、「夕空での観測はとても難しかった。太陽を見てしまう危険があったので、日没直後を狙った。」と語りました。
一方、当研究所が各職員の努力により、研究所全体としては成功といえる結果を残す中、観測が難しかった職員からは落胆の声も出ています。この彗星を昨年より楽しみにし、観測会まで実施した当研究所の所長田上彩夏氏は、前回の紫金山・アトラス彗星の観測同様に、一度も観測が成功していません。低空の天体の観測では、青梅などの山側では観測が困難となるため、機材を運べる移動手段を用意し、観測会を遠方で行うなどの案が出されています。今後の当研究所の観測にご期待ください。